初心者向け果樹ザクロの育て方とポイント

gardening

科目 ザクロ(ミソハギ)科

原産国 地中海一帯~ヒマラヤ

花の色 オレンジ

大きさ 高さ2m~7m

目次

花も果実も楽しめる樹木

「紅一点」の“紅”は、ザクロのオレンジ色の花のことです。果実は甘酸っぱく、美容や健康に良いとされ、昔から親しまれてきました。

育て方

ザクロには、鑑賞用の花ザクロと、果樹用の実ザクロがあります。日本には平安時代に花を楽しむ木として伝わってきたため、実ザクロの品種は少ないですが、世界には大きな果実をつける品種、種なしの品種などたくさんの品種があります。日本で流通しているものには、ヒメザクロ、水晶ザクロ、泰山一合、花一番、カリフォルニアザクロなどの品種があります。
ザクロの育て方のポイントは3つ。日当たりの良い場所で、窒素以外の肥料をたくさん与え、剪定方法を間違えないことです。ザクロは、花芽が出てから花が咲くまで、1年かかります。花芽は前年の8月にはもうできているので、剪定してしまわないように注意が必要です。

用土は、水はけの良い栄養分の多い弱酸性の土を好みます。鉢植えの場合、赤玉土7、腐葉土3の割合で混ぜた土を使います。地植えは、根を深くよくはるので、地中30cmほど耕し、腐葉土や堆肥を2~3割混ぜ込みます。
肥料は、庭植えは3月と10月に、鉢植えは3月、7月、10月に、有機質肥料か速効性化成肥料を施します。肥料は、与えただけ吸収して、葉を茂らせ成長します。与えすぎて枯れることはありませんが、窒素分の多いものは花つきが悪くなるので、避けます。

ふやしたい場合は、つぎ木、さし木、とり木、種まきなど様々な方法があります。一番かんたんな方法はさし木で、3月上・中旬が適期です。太く充実した枝を10~15cmの長さに切り取り、水に浸けて3時間ほど吸水させてから、赤玉土(小粒)など清潔な土にさします。枝は、半分くらいの長さが地中に埋まり、地表には1~2芽が出るように深く挿します。土が乾かないよう水やりをしながら日陰で管理し、十分に根が生えたら鉢や地面に植え替えて育てていきます。
つぎ木は、2月中旬から3月下旬に休眠期に行います。

主な作業は、剪定です。日当たりや風通しを良くするため、落葉後の12月~2月に行います。地面近くから生える「ヤゴ」と呼ばれる勢いよく伸びる枝を、付け根から切り落とします。間延びした枝(徒長枝)、勢いよく真上に向かって伸びている枝、木の内側に向かって伸びる枝(ふところ枝)も切り落とします。
注意が必要なのは、翌年の花芽が8月頃には形成されていますので、花芽のついている枝、特に短くて太い枝は剪定しないようにします。落葉期以外の新しい枝が伸びている時期は、冬枯れを起こしやすいので、ヤゴを取り除く以外は、剪定を行いません。
また実がつきすぎると株の栄養が奪われ、味も落ちるので、1か所に2つ以上実をつけた場合は、摘果の作業をします。収穫は、果実が赤茶色に色づき、頂部がわずかに裂けた頃に行います。一度裂けると、雨で腐りやすいので、とり遅れないようにします。

育成に適した環境

日当たりの良い場所を好みます。日陰だと花つきが悪くなり、実ができません。植えつけ場所、鉢植えの置き場とも日当たりの良い場所が適しています。

種まきの時期

種は、実から採取し、9月~11月の採取後すぐにまくのがおすすめです。実をつけるまでに、3~5年ほどかかります。
苗植えの場合は、12~3月が適期です。鉢植えの場合は、苗より1~2回り大きな鉢がサイズ的にベストです。地植えも、日当たりのよい場所で、土を深く耕してから苗よりも1~2回り大きな穴に植えます。
また、鉢植えは、根詰まりを防ぎ、通気をよくするため、通常2年に1回は植え替えます。

水やり

庭植えにした場合は、水やりはほとんど必要ありません。植え付け後、2週間ほどしっかり水やりをして、根付いたら、極端に乾燥しない限りは水やり不要です。
ただ、幼木の場合は、夏に水やりをすると夏枝が良く伸び、成長します。

気を付けたい病気

病気や害虫には比較的強いですが、日当たりや風通しが悪い場所で育てると、うどんこ病やカイガラムシ、アブラムシが発生することがあります。また、果実の中に入り込んで食い荒らすゴマダラメイガの幼虫が発生することもあるので、早めに果実に袋をかけ侵入を防ぎます。袋は10月上旬、収穫の1週間~10日前くらいに外します。

はじめてでも育てやすい果樹

病気や害虫の心配が少なく、生育しやすい環境を整えれば、初めて果樹を育てる人にも育てやすい樹木です。世界各地で、多くの神話や伝承にも登場し、昔から人との関わりの深い樹木だそうです。中国では昔から漢方薬としても利用され、実がぎっしり詰まっていることから、吉兆のシンボルにもなっているそうです。
美容や健康にも良いとされるザクロ、自分で育てて、花を楽しみつつ、収穫後もジュースやジャムなど、食べ方も楽しめそうです。